低荷重域で真価を発揮するロープ
冠する「Rein=手綱」の名の通り、手で引くという用途(=低荷重域でのパフォーマンス)に徹底的にフォーカスしたロープです。グリップが良く摩耗に強い外皮の中に、2種類のコアを収めた「3レイヤー構造」を持つのが最大の特徴です。強度を担保する12打UHMWPE(ダイニーマの名称で知られる高強度繊維)アウターコアの更に内側に、低荷重域で発生する「構造的な伸び(後述)」を抑制する「パラレルファイバー」が入っています。
カバーの混紡繊維で選べる2グレード
ディンギーレインは100%ポリエステルカバーのグレードと、カバーにアラミド繊維を混紡したグレードがあります。アラミドはグリップが良く、摩擦熱にも強くなります。ただし、高強力な素材のためグローブのほうが負けてしまう(破れる)ことがあります。また、アラミドは難燃素材で火を用いた単純な末端処理がしにくい場合があります(ウィッピングを推奨いたします)。ポリエステル100%のほうはマリンロープとしては定番の構造でクセがありません。
素材構成(P12/U12+)
カバー:ポリエステル12打
コア:UHMWPE12打+パラレルインナーコア
素材構成(PA12/U12+)
カバー:ポリエステル&アラミド混紡12打
コア:UHMWPE12打+パラレルインナーコア
※ P=ポリエステル | A=アラミド | U=UHMWPE / 12=12打
↑↑↑100%ポリエステルカバー↑↑↑
↑↑↑ポリエステル&アラミドカバー↑↑↑
耐荷重に関するスペックは参考にならない?!
種々の条件によりますが、人の手で引いてロープにかけられる荷重は数十キログラム単位にとどまります。これはUHMWPEを用いたロープにとっては超低荷重域に当たります。つまり、多くのメーカーが提示する「安全使用荷重」や「破断強力」などの数値(ハイテク繊維ロープなら数百キロ〜トン単位)は、ディンギーセーラーがコントロールラインとして使用する際の荷重領域とはかけ離れた、事実上参考にならない数値と言えるのです。(2mmのUHMWPEロープの破断強度は400kg前後にもなります)。
低荷重下で伸長率を極小化
前述のUHMWPEは高い強度に加え、断裂時でも3%程度という超低伸長率も備えています(ポリエステルは断裂時伸長率は15%にも達します)。では、ダイニーマロープは伸びないのか。答えはNO、すなわち伸びます。ロープが編まれている(繊維が荷重方向にまっすぐ伸びるわけではない)以上、素材が何であるか問わず、荷重のかかりはじめにはどんなロープでも伸びてしまうのです。素材として超低伸張であるハイテク繊維ロープは確かにある程度の荷重域を超えると本来の伸びにくさを発揮しますが、ハイテク繊維にとって超低荷重域での使用が中心となるディンギーのコントロールラインは、こうした構造的な伸びの影響をモロに受けてしまうのです。では、どうするか、ROBSHIPの答えはシンプルで「編まなければ良い」のです。ディンギーレインはインナーコアにパラレルファイバーを採用することで、この低荷重域に発生する伸びを劇的に抑えることができます。
なお、荷重×伸長率の推移は単一素材でも直線的なグラフを描かない上に、複数繊維の混紡が当たり前であるハイテク繊維ロープにあっては、各荷重域(かかりはじめ〜中荷重域〜高荷重域)に対する伸長率を数値化することは非常に難しく、実際にそのようなデータを公開しているメーカーは皆無でしょう。だからこそ「直線=構造的な伸長余地がない=低荷重域の伸びに強い」という数値化するまでもない「当たり前」がディンギーレイン最大の特徴にして強みなのです。
モニターレビュー
本品の開発に際し、モニター様に実際の製品を使用して頂きご感想をお伺い致しました。ご協力頂き誠にありがとうございました。(以下はモニター様個人のご意見、ご感想をそのまま掲載するもので、必ずしも製品特性を客観的にご説明するものではございません。)
大学ヨット部監督様(470)
部員の皆様からお寄せ頂いたレビューです。
使用箇所
PA12:バング、トラベラー、カニンガム
P12:ジブタック、ツイーカー、パイプブライドル高さ調整
(スナイプ:テンションボックス、ジブリーダー、フットベルトアジャスター)
ご使用所感
・グリップが良く、ロープサイズを下げても引く際の滑りは感じない
・キンク耐性が強く長さのある箇所(テンションボックス等)でも絡まらない
・外皮はカムでも滑らないが、摩耗が早いように感じた
(内芯は強く、外皮も擦れが見えるだけですぐに破れる訳ではなさそう)
・火で溶ける素材だと末端処理がしやすいのだが
・サイズに対して高強度なのでロープが軽い
→特にツイーカーなどフライさせるロープに最適
→リーチング時の風上側のブロックに対してもグリップが高く滑らなかった
3週間ご使用頂いた後に頂いたご報告
・総じて摩耗しにくいロープであるとの評価
・カー、バングは交換に及ばない軽微な摩耗(PA12)
・カニンガムは摩耗なし(PA12)
・ツイーカーは結び目でのが断裂2艇で発生、交換(P12)
・ブライドル、ジブタックは摩耗なし(P12)
・テンションシートの力がかかる部分で摩耗が早い
→カム擦れで外皮がなくなり内芯見えるほどに
・アウトホールとフットベルトアジャスターにも使用
→摩耗が少なくクリートへの食い込みが良い
高校ヨット部顧問の先生(420 / ILCA)
部員の皆様からお寄せ頂いたレビューです。
使用箇所
PA12:バング
P12:バング
ご使用所感
・形状がフニャフニャにならず操作しやすい(PA12)
・最初は細いと感じたが実際は問題なかった
・出し入れもスムーズで、摩擦で滑りが悪いということもない
・難燃素材が入っているので火での末端処理がしにくい(PA12)
販売店より
たくさんの貴重なご意見を頂き誠にありがとうございます。多くのご意見をお寄せ頂いた「摩耗」と「末端処理」につきまして、以下の通り補足させていただきます。
素材と摩耗ついて
本品はコアが高強力なUHMWPEであり、これと硬い艤装品とに挟まれるポリエステルの外皮は確かに劣化懸念が最も高い箇所になります。これへの対策として耐摩耗素材のアラミドが混紡されます。3週間のモニタリング結果からもPA12のほうが摩耗に強い傾向がはっきり現れていますね。なお、余談ですがアラミドは紫外線には弱い素材なので、日照下での長期放置は劣化を早めます。
末端処理について
アラミドは難燃素材なので、熱処理ほど手軽ではないものの、蝋糸でのウィッピング処理が推奨されます。芯材のUHMWPEが低摩擦素材であるため、外皮と芯材のずれ防止としても縫い合わせる処理は大変有効です(以下動画)。
破断強度で見る適正ロープの選び方
ロープを選ぶとき、なにがベストか分からず迷ったことはありませんか。破断強度や伸長率を気にはするけど、実際どのグレードのロープが適正なのかはっきりしたイメージを持てているわけじゃない、そんなこともあるのではないでしょうか。ここでは具体的な数値をもとに、用途に応じた適正ロープをお選び頂ける参考情報をご紹介します。
1. まずは艤装品をチェック
ボートに設置しているロープクラッチやブロック、そしてウィンチのテーリングジョーなど、適合ロープサイズが決まっている部分は多くあります。まずは現実的に導入可能なロープサイズの範囲をお使いの艤装品の仕様から絞り込みましょう。
2. 実際にかかる荷重の最大値
全てのラインにおける具体的な数値を算出するのは難しいかもしれませんが、艤装品の性能からある程度見当をつけることが出来ます。一般的なロープクラッチのラインホールド力は400〜600kg程度、カムクリートに至っては200kg前後のものが主流です。
3. 「2の数値の20%以内」が適正ロープです
表を併せてご覧ください。最も伸長率の低いPBOは断裂時でも2.5%しか伸びないのに対し、最も伸長率の高いポリプロピレンは断裂時30%も伸長することが示されています。しかしながら、破断強度(および伸長率)が各上限値まで達することは一般的には考えにくいものです。
例1:シリウス500の10mmをクルーザーのメインハリヤードに使用する場合
シリウス500(10mm)の破断強度は2,800kgに達しますが、実際に数トンもの荷重がかかっているとしたら、ロープよりもクラッチが破損します。2,800kg × 20% = 560kgのため、仮にホールド力500kgのクラッチでこのハリヤードを固定出来ているのであれば、ハリヤードに「実際にかかっている荷重」はロープ性能の適正範囲内に十分収まっていることが確認出来ます。なお、この条件下ではポリエステルロープであるシリウス500の伸長率は最大で3%程度に収まります。
例2:バズラインの7mmを470のメインシートに使用する場合
表中でも最も傾斜が緩い(最大伸長率30%)ポリプロピレンロープですが、バスライン(7mm)を実際に30%伸長させるには790kg(破断強度)もの荷重をかける必要があります(その20%でも約160kg)。当然ながら、470のメインシートとして選手が腕力のみで引くラインにそのような荷重が加わることは現実的にはあり得ません。仮に20%(=160kg)の荷重をかけたとしても、その時点での伸長率はわずか6%しかありません。ポリプロピレンロープの場合、このように実質的には高い伸長率はデメリットにならず、軽さ、柔軟さ、疎水性や浮上性といったメリットの恩恵が得られます。
時には伸長率がアドバンテージにも
ナイロンやポリプロピレンなどは、伸長率の高さをメリットとして利用する場合があります。係留ロープなどはその最たる例で、適正なサイズ選びにより十分なスプリング性能をロープ自体から得ることも出来ます。
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