ハリヤードやトッピングに最適なダイニーマロープ
ダイニーマSK78のコアに32打ちの丈夫な原着ポリエステルカバーを合わせた、非常に明確なコンセプトのロープです。低い伸長率に高い強度そしてウインチングやジャマー固定による摩耗に強いキメの細かいカバーは完全にハリヤード用途を想定しています。6mm以下はカバーが16打ちになるので、このサイズ帯は柔軟性もありコントロールラインとしても非常に優秀です。
素材
コア:ダイニーマSK78 (10mm以上はポリエステル混紡)
カバー:原着ポリエステル 16打 1:1 <<6mm|8mm>>32打 1:1
| 直径 | 破断強度 | 巻全長 |
|---|---|---|
| 1mm | 40kg | 250m |
| 1.5mm | 120kg | 250m |
| 2mm | 200kg | 250m |
| 2.5mm | 225kg | 250m |
| 3mm | 280kg | 250m |
| 4mm | 750kg | 250m |
| 5mm | 1050kg | 250m |
| 6mm | 2200kg | 200m |
| 8mm | 3800kg | 200m |
| 10mm | 5000kg | 200m |
| 12mm | 7200kg | 200m |
| 14mm | 9500kg | 150m |
なぜコアにポリエステル混紡?低グレード品てこと?
“フルダイニーマのスペック競争”ではなく、長期運用時の扱いやすさ・耐久性・価格バランスまで含めた実使用性能を重視した結果です
お船の運用方法にもよりますが、例えばハリヤードを「ワンレガッタで使い潰して毎回交換する」ような運用であれば、確かにフルダイニーマが最適解でしょう。一方「頻繁な交換を要しない長寿命のロープが欲しいけど伸長率や強度も妥協したくない」ような場合、本品のような混紡コアが有力な候補になります。
「ダイニーマはポリエステルの上位互換」という単純な話にはならず、両者は特性も採用理由も全く異なる別種の素材であり、そもそも上位下位という関係にはありません。そしてフルダイニーマのロープは「雑に高性能」ではなく「ピーキー」であると言えます。
低伸長であることの良し悪し
ダイニーマは伸長率が低いことが利点の一つですが、これは言い換えれば「衝撃荷重を逃がせない」ことを意味します。そして、ダイニーマ開発元のDSM(Avient)の資料にもクリープについての言及があり、運用は耐荷重の20%以内、温度20℃で想定耐用年数8年とされます。とはいえ実際の使用環境では、こうした条件管理を常に理想的に維持することは容易ではありません。そして、熱・局所摩耗・ショック荷重・クリープ蓄積など複数要因が重なることは大いに有り得ることで、低伸長素材ゆえに劣化や負荷蓄積の“体感的な予兆”が出にくいケースがあります。ポリエステル混紡はこうしたダイニーマの特性に「丸みをもたせる(=汎用化)」狙いがあります。敢えて感覚的に表現すると「適度な粘りを残したロープになる」のです。
低摩擦という特性の緩和
ダイニーマは非常に滑りやすい素材です。本品のようにカバーが被っている構造であれば一見関係ないように見えますが、当然ロープ内部では繊維同士でも摩擦が生じており、ダイニーマコアとポリエステルカバーとの間にも摩擦は存在します。この摩擦は、荷重の伝達や断面形状の安定度合いに直結しています。一般的に純ダイニーマロープの場合、コアとカバーとの荷重移動が急激に生じたり、ジャマーなどによる局所圧縮箇所で「逃げ」が生まれてしまい結果としてコアが潰れやすいなどの可能性があります。こうした点においても、ポリエステル混紡による「粘り」が効いてきます。
実運用上必要となる耐荷重とコストとの不整合
30ftクラスのお船を措定した場合のジャマーのホールド荷重は500kg前後がボリューム層ですが、こうしたジャマーでハリヤードを固定するとして、この荷重を常用域として「20%圏内」に納める前提で考えると、必要となる破断強度は概ね2,500kg前後から実用域に入ってきます。本品の場合、10mmで破断強度は5,000kgにもなっており、対クリープを考慮してのセーフティーマージンを加味しても相当の余裕があることが分かります。こうしたケースではコアをフルダイニーマにしてもそのコストに見合う恩恵は必ずしも生じるとは限らず、前述の通り却って扱いづらいロープになる可能性が出てきてしまいます。
当然ながら、ダイニーマはポリエステルに比べて軽い素材であり、トップヘビーを避けるために古ダイニーマのロープを採用するなどこの場では言及しきれない多彩な採用根拠が存在するのも事実ですが、ここではあくまで「ポリエステルを敢えて混紡する意図」についてご説明しております。
破断強度で見る適正ロープの選び方
ロープを選ぶとき、なにがベストか分からず迷ったことはありませんか。破断強度や伸長率を気にはするけど、実際どのグレードのロープが適正なのかはっきりしたイメージを持てているわけじゃない、そんなこともあるのではないでしょうか。ここでは具体的な数値をもとに、用途に応じた適正ロープをお選び頂ける参考情報をご紹介します。
1. まずは艤装品をチェック
ボートに設置しているロープクラッチやブロック、そしてウィンチのテーリングジョーなど、適合ロープサイズが決まっている部分は多くあります。まずは現実的に導入可能なロープサイズの範囲をお使いの艤装品の仕様から絞り込みましょう。
2. 実際にかかる荷重の最大値
全てのラインにおける具体的な数値を算出するのは難しいかもしれませんが、艤装品の性能からある程度見当をつけることが出来ます。一般的なロープクラッチのラインホールド力は400〜600kg程度、カムクリートに至っては200kg前後のものが主流です。
3. 「2の数値の20%以内」が適正ロープです
表を併せてご覧ください。最も伸長率の低いPBOは断裂時でも2.5%しか伸びないのに対し、最も伸長率の高いポリプロピレンは断裂時30%も伸長することが示されています。しかしながら、破断強度(および伸長率)が各上限値まで達することは一般的には考えにくいものです。
例1:シリウス500の10mmをクルーザーのメインハリヤードに使用する場合
シリウス500(10mm)の破断強度は2,800kgに達しますが、実際に数トンもの荷重がかかっているとしたら、ロープよりもクラッチが破損します。2,800kg × 20% = 560kgのため、仮にホールド力500kgのクラッチでこのハリヤードを固定出来ているのであれば、ハリヤードに「実際にかかっている荷重」はロープ性能の適正範囲内に十分収まっていることが確認出来ます。なお、この条件下ではポリエステルロープであるシリウス500の伸長率は最大で3%程度に収まります。
例2:バズラインの7mmを470のメインシートに使用する場合
表中でも最も傾斜が緩い(最大伸長率30%)ポリプロピレンロープですが、バスライン(7mm)を実際に30%伸長させるには790kg(破断強度)もの荷重をかける必要があります(その20%でも約160kg)。当然ながら、470のメインシートとして選手が腕力のみで引くラインにそのような荷重が加わることは現実的にはあり得ません。仮に20%(=160kg)の荷重をかけたとしても、その時点での伸長率はわずか6%しかありません。ポリプロピレンロープの場合、このように実質的には高い伸長率はデメリットにならず、軽さ、柔軟さ、疎水性や浮上性といったメリットの恩恵が得られます。
時には伸長率がアドバンテージにも
ナイロンやポリプロピレンなどは、伸長率の高さをメリットとして利用する場合があります。係留ロープなどはその最たる例で、適正なサイズ選びにより十分なスプリング性能をロープ自体から得ることも出来ます。
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