ジャックラインはクルーがデッキから海へ転落するのを防ぐ為のものです。もしこのジャックラインが伸びてしまい、クルーの体がデッキから投げ出されてしまうと自力でデッキによじ登るのは不可能に近い場合が多く、特にシングルハンドの場合は命に関わる事故にも繋がりかねません。また、他にクルーが乗っている場合でも走っている船の舷側から人を引き上げるのは非常に困難です。弊社ではこうした事故を未然に防ぐため、ヨットマンとしての経験から生み出されたアイデアを盛り込んだジャックラインを製造、販売しております。安全で楽しいヨットライフのために、是非設置をご検討下さい。
【ご注意】このページ内の数値は使用状況等によって容易に変動しうるもので、絶対的な正確さを保証するものではありません。
POINT1 -ジャックラインの素材-
破断強度到達時の各素材の伸び率(%)
素材 | 最低値 (%) | 最高値 (%) |
---|---|---|
ナイロン | 20 | 26 |
ポリエステル | 10 | 16 |
ダイニーマ | 3.5 | 3.5 |
1×19 ステンレスワイヤー | 1 | 1 |
※使用状況等により上記以外の数値になる場合もあります。
ISAFの外洋レース規定では5mmの1×19ワイヤーかそれに相当するハイモジュラス(ダイニーマなど)ロープ、あるいはウェビング(丈夫な帯)のジャックライン設置が義務づけられています。しかし、多くのクルーザーにはポリエステルか、更に伸び率の大きいナイロン製のジャックラインが取り付けられているというのが現状です。十分な安全性を確保する為には、ジャックラインに使用されている素材を十分に吟味する必要があり、伸び率の観点から弊社ではダイニーマの使用をお勧めしております。
POINT2 -ジャックラインカバー(ウェイビングカバー)の使用をオススメします-
丸いロープは踏むと足の下で転がり、転倒の恐れがあるため大変危険な場合があります。このため、ジャックラインにはウェビングカバーを被せる事をお勧めしております。これによりジャックラインを踏むことに起因する転倒を防げるほか、ジャックラインの強度を更に高め、UV(紫外線)によるダイニーマの強度低下を抑える事が出来るといった利点があります。
POINT3 -ジャックラインの直径と強度-
一般的なクルーザーの場合、最低でも4mmのダイニーマ+ポリエステル製ウェビングカバーのジャックラインをお使い頂く事をお勧めしております。強度と伸び率の両面から最も理想的な直径は5mmのダイニーマ+ポリエステルウェビングカバーです。このダイニーマロープの「芯」とウェビングのカバーにより、踏んで転倒するリスクを減らし、耐UV(紫外線)性も飛躍的に向上させることが出来ます。また、弊社ではカバーなしのジャックラインもお作り出来ますが、カバーをご使用にならない場合は誤ってジャックラインを踏まないこと、UVによる劣化状況を定期的に点検して頂くなど安全に十分ご留意頂いた上でお使いください。
実際にご使用になるジャックラインの素材、全長および太さは下表を参考にご検討下さい。
【補足事項】
・船の揺れ具合やクルーの体重等にもよりますが、一般的にジャックラインには一人あたり300kgの荷重がかかると言われています。
・5〜6mmのダイニーマにもウェビングカバーを取り付けられますが、各素材の伸び率が異なるため下表に数値は記載されておりません。
・船体に対する目安として、〜30ft:4mm、〜40ft:5mm、40ft〜:6mmをご使用下さい(ダイニーマの場合)。
・適切な強度が不明の場合、上記より1ランク上のものをお選び下さい(全ての安全備品に共通します)。
荷重に対する各素材の伸び率(mm)
ジャックライン全長:6000m | クルーからジャックラインにかかる力(kg) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
ジャックライン素材 | 破断強度(kg) | 100 | 200 | 300 | 400 | 500 |
25mmチューブウェビングポリエステル | 1274 | 76 | 151 | 227 | 302 | 377 |
25mmチューブウェビングポリエステル(2層) | 2548 | 38 | 76 | 114 | 151 | 189 |
4mmオーシャン3000XG ダイニーマ | 1600 | 14 | 27 | 40 | 53 | 66 |
5mmオーシャン3000XG ダイニーマ | 2300 | 10 | 19 | 28 | 37 | 46 |
6mmオーシャン3000XG ダイニーマ | 3200 | 7 | 14 | 20 | 27 | 33 |
25mmウェビング+ 4mm ダイニーマ | 2874 | 11 | 22 | 32 | 43 | 54 |
5mm 1×19 ステンレスワイヤー | 2000 | 3 | 6 | 9 | 12 | 15 |
ポリエステルの伸び率は放物線状に増加するため、荷重にほぼ比例して伸びるダイニーマやワイヤーとの単純比較は出来ませんが、表では100kg刻みの伸び率をサンプリング比較しております。
ジャックライン全長およびかかる荷重とジャックラインの船縁側へのたわみ(mm)の関係
ジャックライン全長:6000m | クルーからジャックラインにかかる力(kg) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
ジャックライン素材 | 破断強度(kg) | 100 | 200 | 300 | 400 | 500 |
25mmチューブウェビングポリエステル | 1274 | 480 | 678 | 833 | 964 | 1081 |
25mmチューブウェビングポリエステル(2層) | 2548 | 339 | 480 | 588 | 678 | 759 |
4mmオーシャン3000XG ダイニーマ | 1600 | 206 | 285 | 347 | 400 | 477 |
5mmオーシャン3000XG ダイニーマ | 2300 | 174 | 239 | 291 | 334 | 373 |
6mmオーシャン3000XG ダイニーマ | 3200 | 145 | 206 | 246 | 285 | 316 |
25mmウェビング+ 4mm ダイニーマ | 2874 | 182 | 258 | 311 | 360 | 404 |
5mm 1×19 ステンレスワイヤー | 2000 | 95 | 135 | 165 | 190 | 213 |
例:全長6mの25mmウェビング+4mmダイニーマのジャックラインに400kgの荷重がかかると360mm船縁側にたわみます。
荷重に対する各素材の伸び率(mm)
ジャックライン全長:12000m | クルーからジャックラインにかかる力(kg) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
ジャックライン素材 | 破断強度(kg) | 100 | 200 | 300 | 400 | 500 |
25mmチューブウェビングポリエステル | 1274 | 151 | 302 | 453 | 603 | 754 |
25mmチューブウェビングポリエステル(2層) | 2548 | 76 | 151 | 227 | 302 | 377 |
4mmオーシャン3000XG ダイニーマ | 1600 | 27 | 53 | 79 | 105 | 132 |
5mmオーシャン3000XG ダイニーマ | 2300 | 19 | 37 | 55 | 74 | 92 |
6mmオーシャン3000XG ダイニーマ | 3200 | 14 | 27 | 40 | 53 | 66 |
25mmウェビング+ 4mm ダイニーマ | 2874 | 11 | 22 | 32 | 43 | 54 |
5mm 1×19 ステンレスワイヤー | 2000 | 6 | 12 | 18 | 24 | 30 |
ポリエステルの伸び率は放物線状に増加するため、荷重にほぼ比例して伸びるダイニーマやワイヤーとの単純比較は出来ませんが、表では100kg刻みの伸び率をサンプリング比較しております。
ジャックライン全長およびかかる荷重とジャックラインの船縁側へのたわみ(mm)の関係
ジャックライン全長:12000m | クルーからジャックラインにかかる力(kg) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
ジャックライン素材 | 破断強度(kg) | 100 | 200 | 300 | 400 | 500 |
25mmチューブウェビングポリエステル | 1274 | 955 | 1355 | 1665 | 1926 | 2161 |
25mmチューブウェビングポリエステル(2層) | 2548 | 677 | 955 | 1173 | 1355 | 1516 |
4mmオーシャン3000XG ダイニーマ | 1600 | 403 | 565 | 690 | 796 | 893 |
5mmオーシャン3000XG ダイニーマ | 2300 | 338 | 472 | 576 | 668 | 745 |
6mmオーシャン3000XG ダイニーマ | 3200 | 290 | 403 | 491 | 565 | 631 |
25mmウェビング+ 4mm ダイニーマ | 2874 | 257 | 364 | 436 | 509 | 570 |
5mm 1×19 ステンレスワイヤー | 2000 | 190 | 269 | 329 | 380 | 425 |
例:全長12mの25mmウェビング+4mmダイニーマのジャックラインに400kgの荷重がかかると509mm船縁側にたわみます。
商品をご注文の方へ
ジャックラインは両端を固定するクリートなどを結んだ長さより20cm程度短く作成し、取付時にラッシングして高いテンションがかかった状態で固定します。このため、ご注文に際しては固定器具間の正確な長さを計測し、お知らせ下さい。ご注文時、端数が50cm以下の場合は端数分をサービス致します。端数が51cmを超えた場合は恐れ入りますがメートル数を繰り上げた価格とさせて頂きますのでご了承くださいませ。
ラッシングの方法
ラッシングはテークルと全く同じ考え方で人力でも強い張力を発揮した状態で対象物を縛る方法でございます。まず、クリートなどにラッシング用のラインの一端を結びます。次に、ジャックラインのエンドループとクリートとを2往復するようにラッシングラインを巻きます。この時点で4:1のテークルと同じ状態になっており、ラッシングラインを手で引くだけでも相当のテンションをかけることが出来ます。この状態で往復しているラインの中腹部を押さえるなどしておき、更にもう一周(6:1)ラインを往復させます。この状態で再度テンションをかけていきますが、この際前半の4週分に均等にテンションがかからないことがありますので、調整しながらラインを引いてください。十分テンションがかかったら、下記動画にあるような方法でラインを縛れば完成です。
https://www.yuukoumarine.jp/pages/videolibrary_colligo_lashing_tensioner
商品価格の内訳
・両端アイの加工賃およびアイ作成に必要な余長分の材料(詳細下記)
・本体部分のロープ・ワイヤー・ウェビングなどの材料費
[注意]これらは全て一本(片舷)分の料金です!
両端アイの仕様について
アイサイズは別段のご指定がない限りは内寸300mmでお作り致します(写真のように計測した場合のAの寸法)。アイの作成には製品の完成全長とは別に余剰ロープやカバー(下記)が必要となりますが、アイ用の余剰ロープおよびアイ加工賃は販売価格に含まれておりますのでご注文に際しては純粋にジャックライン全長分のみをご注文くださいませ。
例:両端に300mmのアイを作成する場合の:
余剰ロープ=完成全長+2×(300mm:アイの戻り側+300mm:スプライス用の余剰)=1,200mm
余剰カバー=完成全長+2×(300mm:アイの戻り側+200mm:縫い付け用の余剰)=1,000mm
なお、アイサイズは500mmまで無料で拡大いたしますのでご希望の際はお知らせください。500mm以上の大きなアイをご希望の際はお見積りいたします。
ラッシングの強度計算について
ラッシングに限らずシャックル等でも同じ事が言えますが、固定器具の強度は本体(この場合はジャックライン)の倍の強度を持たせることをお勧めします。
【例】
オーシャン3000XG 5mm(破断強度2300kg)のジャックラインにディンギーコントロール 4mm( 破断強度700kg)でラッシングする場合に必要となるラッシングの巻き回数
2300×2=4600kg(これがラッシングに持たせるべき最低強度です)
700×6(3重)=4200kg(400kg足りない)
700×8(4重)=5600kg(十分強度を確保出来ます)
上記より破断強度2300kgのジャックラインに使用するラッシングは4重巻きにするのが妥当と言えます。
更に、ラッシングする際にロープを通すアイ等の直径にもご注意ください。
ロープの強度を100%活かすためにはアイの直径がロープの8倍以上必要となり、アイが小さくなるにつれてロープの強度は下がり、ロープの5倍のアイでは強度が15~20%低下します。
上記4重巻きのラッシングにこの法則を当てはめると
5600kg×1(32mm以上のアイを使用)=5600kg
5600kg×0.8(20mmのアイを使用)=4480kg
となり、アイの直径によっては理想的な強度を維持出来なくなる可能性があることが分かります。
余談ではありますが、上記のような理由から例えばライフラインをラッシングする場合、スタンションのアイではなくスタンション自体にラッシングするだけでも随分と強度を向上させられる場合がありますので是非ご活用ください。
ジャックラインってどこに、何に、どうやって張ればいいの?
大きく下記の2点にご留意頂き、設置箇所を選定または作成して頂くことをお勧め致しております。
1. 設置箇所の強度 - ボルト&ナットで強固に固定されている器具への取り付けが理想です
多くの場合、ジャックラインは既存のクリートなどにラッシングやカウヒッチで設置されます。クリートなどの固定にはデッキを貫通する強固なボルトとナットが使用されており、こうした器具にジャックラインを固定して頂ければ安心してお使い頂けます。逆に、パルピットやスタンションなどは大きな荷重に耐えるようには設計されていない場合が多く、根元部分の固定にもボルト&ナットではなくビスが使用されていることがあります。艇種やお使いのデッキ用品によって様々ですが、原則としてパルピットなどへのジャックライン取り付けはお勧め致しておりません。多くの場合、人が船外に投げ出される際にかかる数百キロの荷重や、人が吊り下がる、あるいは水面を引きずられる際の荷重を一般的なパルピットで支えるのは困難です。
2. ジャックライン自体の位置 - なるべくデッキの内側に取り付けましょう
ジャックラインは人の身体を船上に留めておき、落水を防止するのが目的の安全装備品です。デッキの幅にも限りがあるため、完全に身体をデッキ上に留められるような位置取りは難しいかも知れませんが、デッキの内側にジャックラインを張るほど安全性は増すと言えます。ジャックラインが舷側の外縁に近すぎる位置に取り付けられている状態で、万が一身体が船外に投げ出された場合、仮に落水までせずとも走り続ける船の側面を自力でよじ登るのは困難を極めます。また、実際に落水してしまった場合は水の抵抗を受けながら水面を引きずられるため非常に危険です。
こうしたことを踏まえて設置位置を選定した場合、最適な位置にクリートなどの強固な器具がない場合も多いでしょう。そんなときはアイを倒して平らに出来る「フォールディング・パッドアイ」を使用して任意の位置にジャックライン用の固定器具を追加することもご検討ください。
【お届けについて】
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取り扱い製品の性質ごとに発送条件が異なります。なお、いずれの場合も納期の確約は致しておりません。万が一商品到着の遅延に起因する二次的な損害が生じた場合も弊社は関知致しません。予めご了承ください。
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