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ハリヤードの選択について

このページでは多くのお問い合わせを頂くハリヤード用ロープのご選択についての情報をまとめております。お船の用途から乗り手の方の考え方まで、様々な要因が絡むためハリヤードの選択一つとっても最適解は一つに定まるものではなく、当然本ページの記述もご賛同頂ける箇所、そうでない箇所があると存じます。あくまでも一つの見解、参考としてお役立て頂ければ幸いでございます。なお、製品ラインナップ入れ替え、ロープに関する新技術やトレンドの変遷などに対応するべく、本ページで具体的な推奨ロープは提示しておりません。以下をお読みいいただいた上でお問い合わせ頂ければ、その時点でご要望に最も合うロープをお勧めさせて頂きます。

1. 耐久性って何だろう?

いきなり禅問答のような入りですが、実際にロープの「耐久性」には多くの意味合いがあり、多くの要因が絡みます。多くの方が気にかけられるのは「強度」や「伸び」そして「価格」などですが、この他にも「摩耗耐性」「摩擦熱耐性」「耐候性(UV耐性)」「柔軟性」「クリープ耐性」「褪色耐性」「乾湿耐性」など用途や求める性能に応じて勘案すべき点は多岐に渡ります。そして、あらゆる要素を高レベルで兼ね備えた「万能・無敵のロープ」は無いということがロープ選びの大前提となります。例えば、強度や伸びにくさといった「強さ」グリップの良さやしなやかさといった「扱いやすさ」の両立を求めるだけでも実は意外と難しい問題なのです(両者は基本的にトレードオフの関係であるため)。実際に「伸びにくくて丈夫で握りやすい(柔らかい)ロープ、であんまり高くないやつ」などをご所望頂くケースがほとんどなのですが、そうした全部盛りではなくロープの用途ごとに重視すべき要素を絞ることが失敗しないロープ選びへの近道です。

2. ハリヤードで重視すべき要素は?

破断強度を重視される方が多く、もちろんそれも重要なファクターですが、優先順位をつけるなら伸長率と摩耗耐性を重視していただくことをお勧め致します。最大までホイストしたらそのままのポジションに留まってもらう(伸びて下がってこない)ことはハリヤードとしての必須条件ですね。また、ハリヤードはウインチングやシートストッパーでの固定など、ロープ表面に大きな摩擦を生じるような使い方になるロープです。また、マストトップのシーブとの摩擦も大きなものです。ハリヤードに耐久性を求められる場合、こうした摩擦および摩擦熱への対策は非常に重要となるのです。紫外線への耐久性も重要になりますが、それは船上の全ての装備に対して共通します。とりわけハリヤードにおいては、犠牲ロープ(セール側のエンドに適当なロープを接続し、ハリヤード自体はマスト内に引っ込めておく+コックピット側に出てきたハリヤードには別途かカバーを被せる)により対策が取れます。また、シート系のロープのように頻繁に手で持つことも、細かいトリムを行うこともないため、柔軟性の付与は次点と言えます。

実は伸長率も後回しと考えて良い?!

ロープの伸長は破断強度に対しどこまでの荷重がかかるかによって左右されますが、多くの場合高い伸長度を示してしまうレベルの高荷重がロープにかかるというケースは少ないものです(各ロープの販売ページに記載の「20%ルール」をご参照ください)。余程グリップに軸足を置いた柔らかいロープを選ばない限り、伸長率における選択ミスの心配は少ないものです。また、ロープメーカーは直径10mmそこそこのスペース内に、どんな素材を、どんな割合で、どんな編み方で、どんな密度で組み込むかについて非常に緻密な設計を行っています。詳細は後述致しますが、外皮に高い摩耗耐性を付与したロープは自ずと高強度に、そして伸びにくくなるよう開発されます

3. 具体的にどんなロープが良い?

ここでは外皮とコアに分けて、材と編み方、密度に着目してご説明します。

ハリヤードに適する外皮の編み方

摩擦耐性を高める基本は「ストランド数を多くすること」です。即ち、コアをあみ編み上げるための組紐の数が多いほうが擦れには強くなります。具体的には24〜32打くらいの外皮になってくると擦れに強いという特性を顕著に持ち始めます。ストランドが多いことのデメリットとしては、固いロープになること、そして表面の凹凸がきめ細かくなるためグリップも悪くなっていきます。歯が食い込まずカムの掛かりも悪いと感じられるかも知れませんが、ハリヤードはシートストッパーやウインチで固定されることが多いと存じますので、こうしたことが大きなデメリットになるケースは稀と言えます。

ハリヤードに適する外皮の素材

クルージングボートの場合はハリヤードに限らず各種ロープにダイニーマなどの高強度ロープを採用されるケースは限定的です。こうした場合はポリエステルの外皮でもストランド数が多ければ十分長期使用に耐えてくれます。一方で、昨今混紡されるケースが増えてきた素材としては耐切創、耐熱性に優れる「テクノーラ」などが挙げられます。これはケブラーなどを含む「アラミド繊維」の一種で防火服や防弾チョッキにも使用される高強度繊維ですが、紫外線に弱いため犠牲ロープを用いた保護が重要になります。

ハリヤードに適するコアの編み方

編み方と言うより密度の違いによるものですが、多くのハリヤード向けロープはコアの繊維量が多く「パンパン」になっています。ロープが編んで作られた繊維製品である以上、緩ければそれだけ伸長する余地が生まれてしまう他、繊維量が少なければ当然破断強度も低くなります緩く繊維量が少ないロープは柔らかくしなやかで、手でハンドリングし易いロープにはなりますが、ハリヤードに求めるべき性能とは乖離してしまいます。これまでご説明してきた通り、これらの要素には相関関係がありますので、ハリヤード向けロープはどうしても固くなること、およびその理由をご理解頂いた上でロープをご選択頂ければと存じます。

ハリヤードに適するコアの素材

価格的な理由からダイニーマなどの高強度繊維を除外する場合、比較的伸長率の低いポリエステルが実質的に唯一の選択肢となります。ナイロンロープも市場には多く存在しますが、伸長率でより不利となるため通常は推奨致しません。高強度繊維を含めてご検討になられる場合はやはりダイニーマが有力候補となります。高い強度、低い伸長率はもちろんのこと、軽いという点もダイニーマの大きなメリットです。

3. ハリヤードについてよく頂戴するご質問

Q:上記説明は分かるけど、やっぱり強度が心配だよ

A:太くするか高強度繊維を選びましょう

特に8mm以上のサイズ帯になると、直径が1~2mm変わるだけでも遠くから目視で分かるほど太さに顕著な違いが出てきます。当然それだけ繊維量にも差が生まれ、1段階太くするだけでポリエステルロープでも数百キロ〜トン単位で耐荷重が向上します。ただし、お使いの艤装品に通せるロープサイズを十分ご確認ください。シートストッパーやマストシーブとの摩擦が大きくなるとホイストの労力が増えたりロープを早く傷めてしまうなどの弊害が発生します。直径を変えずに強度を上げるには繊維自体をより高強度なものにする他ありません。なお、既出の解説と重複しますが各ロープの販売ページに掲載の「20%ルール」をぜひご一考ください

Q:今既に重いんだけど単に細くするのは心配だよ

A:ダイニーマラインの出番です

弊社でハリヤードに推奨しているロープ同士でも、ポリエステルロープとハイエンドのダイニーマロープとでは同じ強度でサイズを2段階縮小出来ます(ポリエステルロープ12mm=ハイエンドダイニーマロープ8mm、ともに破断強度3,800kg程度)。これはかなり極端な例ではあるものの、ダイニーマラインは強度以外に重量と太さにおいてもアドバンテージがある点はぜひご勘案ください。元々ポリエステルより2割程度軽いダイニーマでダウンサイズまで出来てしまえば、高所の重量バランスを相当削減出来ます。こうした点から、レースをしないからダイニーマはいらない、と断じるのは早計かも知れないのです。

Q:今ワイヤーなんだけど、普通のロープに変えて大丈夫?

A:シーブ形状によっては太いロープは通らないことがあります

ラットテールと呼ばれる、先端に金属製ワイヤーをスプライスしたハリヤードから通常の繊維ロープに切り替えられる場合はマストヘッドのシーブ形状に注意が必要です。ワイヤー用のシーブはV型に近いカーブになっていたり、幅が狭い場合があります。こうしたシーブにワイヤー相当の強度を持った太いロープを通すと重くなる可能性があります。また、ワイヤーを長年受け止めていたシーブは表面が粗面化していることが稀にあり、そうした場合は繊維ロープを傷つけてしまいます。こうしたことからラットテール仕様のマストに繊維ロープのハリヤードを通される場合もダイニーマラインなどを用いてロープサイズを圧縮されることを推奨致します。

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