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破損したスタッドやターミナルの実例

このページのポイント

  • クローズタイプの金物は避けよう!
  • リギン類は10〜15年で交換しよう!
  • 経年劣化に保険は適用されない?!
  • ステンレスの特徴を知って正しいメンテを!

空気と真水(雨)に晒せばステンレスは元気!=覆わないで

詳しい理由は後述しておりますので、ひとまずここではクローズドターンバックルはリスク要因を抱えやすい金物であることだけでも覚えて帰ってください。百聞は一見にしかず、クローズド(閉じられた)この金物の中で何が起きているのかを中心に、危険域まで損傷が進行するまで放置されたケースの実物をご紹介します。(タップ/クリックで拡大しますのでじっくり御覧ください。)


最後のリギン交換日、覚えていますか?知っていますか?

リギンの耐用年数は一般に10〜15年とされ、その時期に差し掛かったものは確定で交換することが非常に強く推奨されます。このとき、具体的な断裂や亀裂、変形などの有無から交換の要否を検討することは必要ありません。なぜなら、もしそうした目視で簡単に認められる損傷や変形が生じている場合、それは交換サインなどではなく緊急事態を意味するからです。明確な根拠がないままでの出費が億劫になるのは当然の心理ですが、そんな恐ろしいものは一生涯見ないで済むのが最善です。

保険適用、されないかも知れません

このページにお越し頂いた方は、ぜひこれを機にお手元の約款などをご確認ください。船舶向け保険の多くは偶発的な事故による損害を保証対象としており、経年劣化の結果として早晩発生することが予見できたような損害には適用されないケースがほとんどです。万が一マストが隣のバースに係留中の船に倒れ込んだりその場に居合わせた人に当たったりして、賠償義務が生じたのに保険も下りないという状況を想像してみてください。そもそも、他損を全く計算に入れずとも、デスマスト時の修復費用は数百万単位になるのが普通で、これはリギン交換に要する費用とは文字通り桁が違います

参考:保険会社M社の船舶向け保険における免責事項(抜粋)※保険料が支払われないケースの一例です。
● 非保険船舶の欠陥(中略)、自然の消耗もしくは劣化または性質による変色、さび、かび、腐敗、腐食、侵食、ひび割れ、その他類似の損害


リギン状態の査定に挑戦01

突然ですが問題です。写真のリギンの状態は?タップ/クリックで拡大出来ますのでぜひじっくりお調べください。
A:全く問題ない
B:古いがまだ使える
C:折れていて使い物にならない

ここまでしっかり読んで頂けていれば答えは簡単ですね。正解は当然「C」です。「でも折れてはなくない?」「ちょっとヒビが入ってるけど表面だけじゃ?」「脅し文句を効かせた商売口上でしょ」そんな風に思われた方はいらっしゃいますか?それでは以下の恐怖映像をご覧に入れましょう。上記写真のスタッドは「もう折れている」こと、そして脅しでも何でもなく、目で見て分かる損傷は緊急事態であることがお分かり頂けると存じます。

動画のスタッフはこのスタッドを折ったのではなく、まさしく「首の皮」状態だったところにトドメを刺しただけです。SUS316で出来たこの太さの丸棒を人力で折るなんて不可能ですからね。ここで折れた断面にご注目ください。表面はまだ鏡面性さえ残っているほど光沢があるのに、断面は真っ黒に腐食しています。表面ではなく中だけが錆びる、まさか、これはSUS316ではない?!いいえ、むしろこの腐食はステンレスならではと言えます。

一見見落としそうな小さなヒビだと思ったら実はポッキリ折れていて、しかも中だけサビサビ。これが嫌なこと、信じがたいことばかり寄せ集めた作為的な資料なら良かったのですが、残念なことに全て理屈通りです。順に解説します。

1. 洋上環境ではステンレスの密閉はご法度

こちらのページ(下部)で詳しく解説していますが、ステンレスはクロムと酸素が結合して不動態皮膜を形成することで耐食性を発揮します。とりわけSUS316はクロムの他モリブデンを添加したことで一層不動態化しやすく、この被膜を破壊する塩素イオン(海水)が多い環境でもよく耐えてくれます。ただ、あくまで「耐える」のであって「錆びない」わけではありません。上記の例は、僅かな亀裂に塩気を含んだ水が入り込み、乾燥しにくい上に空気循環も滞る状況が亀裂内に生じたことで断面が不動態化出来ず、内部だけが錆びたと推察されます。こうしたことから弊社ではステンレスを丸っと覆ってしまうような部材(クローズドタイプのターンバックルやライフラインに被せるPVCカバーなど)のご使用は一貫して非推奨とご案内致しております。

2. 真水で洗うとステンレスは長持ちする

水にも溶存酸素が含まれるため、塩素イオンを含まない真水でもステンレスは不動態化します。特に洋上にあっては、真水で塩分や表面の付着物を洗い流すことによって不動態化を強固にし、孔食やもらい錆への対策にもなります。必ずしもホースで水道水を掛けて回らなくても、雨をしっかり当ててやるだけでも十分効果は期待できます。ここでも密閉構造(雨がかからない)が推奨されないことがわかりますね。リギン金物はどうしても突起物があり、セールやロープ、果ては人の皮膚に傷を入れる心配があります。このためカバーでの対策は有効ですが、着脱が容易なものをお選び頂き、係留期間が長くなる場合はカバーを取り外して通気性を高め雨に当てたほうが良い場合もあります。これは建材などでも同じことが言え、原理は異なるものの例えば人気のガルバリウム鋼板などは雨が当たりにくい庇の下などは水洗いしないと白錆が浮いてくるため、洗車ならぬ洗家が推奨されています。

3. 上記実例の「恐ろしさ」の本質

断面の色合いからの推測を含みますが、上記事例の断裂は一度に進行したものではない可能性があります。画像に緑の囲いを付けてみましたが、下半分は本当に真っ黒なのに対し、上半分は多少金属光沢が残っているように見えます。最初に半分程度が断裂し、その後も断裂部が真っ黒に腐食するまで交換が行われず何回かに分けて断裂が進行したことが示唆されます。このように、リギンの「声なき悲鳴」は本当に気づきにくいものです。このため、冒頭の「10〜15年経ったら確定で交換する」という対応が強く推奨されます。


リギン状態の査定に挑戦02

またまた問題です。カバーがなくなってしまっているA地点とカバーが残っているB地点、ワイヤーの状態は?
A:Aのほうが良い
B:Bのほうが良い
C:どっちも大差ない
ヒント:A地点付近の残留カバーが飴色なのは、ビニルテープを巻いて簡易補修していた痕跡です。

PVCのカバーは紫外線で劣化し、時間経過とともにこうしたヒビが無数に入り始めます。そうなればもう塩水は入り放題、そして乾きにくい空気も循環しにくいという多重苦な環境を作り上げてしまいます。PVCカバー内での腐食や断裂はた発見しにくいため、やはり安全上の懸念が生まれてしまいます。

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