
ゆうこうマリン株式会社
YUUKOU MARINE LTD.
以下の情報はお客様の判断のお手伝いとして様々な資料を元に作ったものです。従って、 評価の困難なものについては専門家の助言を得てください。
予備知識として、繊維の外観によって素材が分かることがあります。
これは、繊維の素材を識別するのにあまり信頼のおける方法ではないのですが、その繊維の種類が何であるかを推定していくのには役立ちます。また、少しの検査でその繊維の素材を判断する手がかりになることもあります。
ポリエステルとほとんどのナイロン繊維はたいへん細く髪の毛ぐらいの太さで、一般的には直径0.023mほどですから外見だけでナイロンとポリエステルを見分けるのは実質的に不可能です。
またHMPEとポリプロピレンの細い糸は外見がナイロンとポリエステルに非常に似ており、釣り糸用の直径3~6mmのナイロン糸で、ヨーロッパのロープの一部に見られます。
アトラスは円筒形で堅く、直径が鉛筆の芯より太い繊維です。これは通常ロープ製造の際ナイロンの細い糸の束と混ぜて使われます。
ポリプロピレン(P.P)にはさまざまな形状があり、いろいろなロープに使われています。時に細い繊維でポリエルテルとナイロンに似ていますがそれらよりわずかに太い繊維です。また太目の場合ですと一般的に0.1から0.15mmくらいです。長く連続した状態で使う場合もありますし、短く切って木綿のように短繊維の紡ぎ糸の形に加工処理して使う場合もあります。
ポリプロピレンのもう一つの形状は薄いテープに似ていて通常0.06mmから0.1mmの厚さです。これは時により合わされて円形の繊維のように見えますが小さくばらすか裂くと、互いにくっついて離れない細い平らな繊維の集合のように見えます。
太いポリプロピレンで作られたロープは黒やオレンジや黄色のことがよくあります。染めるとUVによる劣化を防ぐのに効果的で、白くて太いポリプロピレン繊維は通常耐UV加工が施されています。
細いポリプロピレン繊維は白色の場合が多いのですが、染色は容易です。外見からはナイロンやポリエステルとほとんど見分けがつきませんが、通常少し太いものは少し堅いと言えます。この差異は繊維を混合して作られたロープにおいては判別できると言ってもさしつかえありません。
ダブルブレイドのポリエステルとナイロンロープの多くは外側の着色した部分にポリプロピレン繊維を使っています。
これは、着色したナイロン糸や、特に着色したポリエスエル糸の値段が高いためです。
ポリエチレン繊維は直径0.2mm~0.4mmの概して太めの毛のようであって太いポリプロピレンに類似しています。ポリエチレンは紫外線による損傷を受けにくいので染める必要がなく、自然の白色が多いのですが着色されたものとしてよくあるのは黄色とオレンジです。
着色されると外見からはポリエチレンを太いポリプロピレンと見分けることが難しくなります。
アラミドはごく細い麦わら色の繊維です。アラミドから作られた大部分のロープはナイロンかポリエステルでカバーされるかポリウレタンでコーティングされています。
HMPEはたいへん細く、すべり易い繊維です。一部のHEMPロープはカバーされていますがカバーされていないのもあります。カバーされていないHMPEロープの上に淡く鈍青色のコーティングがされている場合があります。
ベクトラン形で販売されているLCAPはごく細い黄褐色か、アラミドの黄色ではないけれどそれによく似たくすんだ黄色の繊維です。
現在多くのロープは上記の繊維のいくつかを混合して作られていますが、ポリエステルとポリプロピレンが組み合わされるのが一般的です。
簡単な検査を組み合わせた方法で大部分のロープの繊維は識別することができます。
表と合わせて次のような簡単な方法で行えば検査で大体の結果を導き出すことができるはずです。
燃焼検査は繊維の鑑定には広く信頼性のあるものとされている方法です。
下の繊維の特質に関する表は燃焼検査で判定できる特徴を一覧表にしたものです。
| ナイロン・ナイロン6 | ポリエステル | ポリプロピレン | ポリエチレン | |
| 炎の中 | 溶解と燃焼 | 縮みと燃焼 | 縮み・巻きあがりと溶解 | |
| 白い煙 | 黒っぽい煙 | |||
| 黄色くなり溶けて滴下 | 溶けて滴下 | |||
| 炎から遠ざける | 燃えるのが止まる | 燃え続ける | ゆっくり燃え続ける | |
| 熱い溶けた玉ができる | 熱い溶けた物質 | |||
| 細い糸に引き伸ばすことができる | 引き伸ばすことができない | |||
| 燃え残り | 黄色っぽい玉 | 黒っぽい玉 | 茶色/黄色っぽい玉 | パラフィンのろうの様になる |
| 硬く丸い玉で押しつぶすことができない | 玉にならず押しつぶすことができる | |||
| 煙の臭い | 動物性の物が燃える刺激臭 | 微かに甘く油っぽい臭い | 焼けたアスファルトの臭い | ろうそくが燃える臭い |
燃焼検査を行う時は必ず適切な手順で注意深く行ってください。
<手順>
きれいなピンセットを使って検査用の繊維や糸をガスバーナーやマッチ棒のきれいな炎の上にもっていってください。
糸が炎の中にある間に、その糸の反応と煙の様子や性質を観察します。
においをかぐ時は炎と煙に注意しながら行ってください。
糸を炎から遠ざけてください。
糸の反応と煙を観察してもう一度煙のにおいをかいでください。
まだ糸が燃えている場合は炎を消してください。
燃え残りの熱いところに触らないように気を付けながらその糸の焼け溶けた末端の様子を観察してください。
指を使わないで金属か棒きれを燃え残りのところにつけて糸状にひき出してみてください。糸状に引き出せないようでしたら押しつぶしてみてください。
<注意> においの感覚はそれほど正確ではありませんし、糸の表面のコーティングや風雨にさらされたために付着した汚染物質の影響をうけますのでにおいだけで識別はできません。
以下の特徴もまた識別の手助けになるかもしれません。
ポリプロピレンとポリエステルは水に浮きますがナイロンとポリエステルは浮きません。
ナイロンとポリエステルは通常白色ですがポリプロピレンとポリエチレンはよく着色されています。
常にという訳ではありませんが、ポリプロピレンとポリエチレン繊維はナイロンやポリエステルより太目なのが普通です。
一部の繊維はそのもの固有の比重の違いによって分類することができます。
| 素材 | 比重 | 融点(°C | 自然の状態での外観 |
| ポリプロピレン | 0.91 | 170 | 硬く細い白色の繊維又は着色された平たい繊維 |
| ポリエチレン | 0.93 | 135 | 硬い白色又は着色された繊維 |
| HMPE(スペクトラ・ダイニーマ) | 0.96 | 135 | ごく細い白色の繊維 |
| ナイロン6 | 1.14 | 219 | ごく細い白色の繊維 |
| ナイロン6.6 | 1.14 | 254 | ごく細い白色の繊維 |
| ポリエステル | 1.38 | 256 | ごく細い白色の繊維 |
| LCAP(ベクトラン) | 1.41 | 330 | ごく細い黄褐色の繊維 |
| アラミド(ケブラー) | 1.44 | 炭化 | ごく細い麦わら色の繊維 |
必ず、測定の前に糸や繊維の束から空気をすべて抜き去ってください。
ポリエチレンとポリプロピレンとHMPEは浮きますが、その他の繊維は水に沈みます。
これより詳しく調べたい場合は密度勾配管を使ったASTM D276がありますが、これは実験室で行うものです。この方法はナイロンと他の素材を識別するのに有効です。
融点はいくつかの繊維の種類を識別するのに信頼性があります。
種々の繊維の溶解温度は「繊維の特質」の一覧表の融点の欄を見てください。
この検査は融点測定装置を使って実施されます。この方法はASTM D276に記述してあります。
これに代わる方法として、既に判別されている繊維といっしょに金属板の上にその繊維を置いて行うものがあります。
金属板をポットプレートかその他の調節可能な熱源の上に置きます。未判別の素材が溶け始めるまでゆっくりと温度を上げていき既に判別された素材が溶けると同時に溶けるものがあればだいたいの融点がわかります。
ナイロン6とナイロン6.6を判別する場合、融点測定は染色試験または化学検査に比べ、たった一つの信頼のおける方法です。
融点の差が約10℃しかない素材を正確に識別することはできません。従ってナイロン6.6とポリエステルの識別はできません。